ビザの種類

英国政府から外国人に発行されるビザは、主に、ポイント制(PBS = points-based system)とノン・ポイント制(non-PBS = non – points-based system)の2つのカテゴリーに分かれています。

ポイント制には、Tier 1(投資家など)、Tier 2(就労ビザの中でも宗教およびスポーツ関係者)、Tier 5(旧ワーキングホリデー・ビザとテンポラリーワーカー)があります。条件が異なるそれぞれの階層の基準に基づいてポイントを計算し、条件を充足していることを確認した上で申請を行います。

起業家ビザとして知られるTier 1 Entrepreneurは延長申請のみ可能です。新たに起業家としてビザを取得したい場合は、Innovator Founderビザでの申請となり、ポイント制で審査されます。

就労ビザの中でも、現地採用者はSkilled Worker(旧Tier 2 General)ビザ、イギリス国外からの派遣・出向者といったいわゆる駐在に必要となるビザは企業内異動(Global Business Mobility)カテゴリの中でSenior or Specialist Workerビザなど出向目的や出向形態に合わせたビザを取得する必要があります。

Tier 4の階層に属していた学生ビザは2020年8月よりポイント制を維持しつつStudentビザとして区分されています。

ノン・ポイント制が適用されるのは、支社設立者(現在は延長申請のみ可能)、英国国籍者あるいは永住権を持つ人の配偶者、婚約者、市民パートナーや永住ビザなどです。

日本人が英国においてフルタイムで働くためには、ホームオフィス/内務省が発行するビザであるTier 1、Tier 2、Skilled Worker、Global Business Mobility、Tier 5、Innovator Founder、Graduate、High Potential Individualビザのいずれか
を取得するか、配偶者ビザや永住権を持っている必要があります。

近年は移民・入国管理法に大幅な変更や更新がなされることがあるので、きちんと申請規定や条件を把握することが大切です。

Tier 1(起業家、投資家)

投資家、起業家などに分かれます。スポンサーなしでも就労できますが、カテゴリーによってはさらに投資額などの条件が加わります。投資家、起業家ビザともに現在は延長申請のみ可(旧起業家ビザであるTier 1 Entrepreneurに替わるInnovator Founderビザでは新規申請が可能)。

Tier 2(就労ビザ)Skilled Worker、Global Business Mobility(旧Intra-Company Transfer)

Tier 2カテゴリーとして区分されるのは、宗教者とスポーツ関係者のみです(注1)。

Skilled WorkerおよびGlobal Business Mobilityのカテゴリーには、継続してポイント制が採用されます(注2)。Skilled Workerの職務は大学入学資格レベル、Global Business Mobilityの職務は大学卒業レベル以上が求められます。Global Business Mobility ルートでは英語力は証明の必要がなく、サブカテゴリー(長期、大卒研修生)によって申請条件が異なります。

「支払い予定給与額」は職種によって規定が異なります(注3)。

英国に滞在する駐在員は、渡英前に英国大使館発行のビザが必要。その帯同扶養家族も同様にビザを取得しなければなりません。

Student(学生ビザ)

年齢やコースの期間によって申請方法や求められる英語力が異なります。

スポンサーライセンスを持つ学校から、入学証明となるCAS(Confirmation of Acceptance for Studies)を発行してもらうことが条件となっています。

ビザ申請の際は、コース費用プラス生活費が賄える証明が必要です(注4)。

Studentビザ所持者の労働の可不可は、コースのレベルや学校により決まります。

Tier 5(旧ワーキングホリデービザ等)

30歳を対象にした、2年まで英国に滞在可能な就労ビザ。テンポラリーワーカー(慈善団体の関係者や創造的業務関係者)も同カテゴリーに含まれます。

婚約者ビザ

英国に合法的に滞在できるビザの保持者でない人が、英国籍あるいは英国の永住権保持者と6ヵ月以内に結婚する予定がある場合、英国入国前に英国領事館で申請することができます。ただし、このビザでの就労は不可。6ヵ月以内に結婚すれば、配偶者ビザの申請が可能です(注5)。

配偶者ビザ

英国籍あるいは英国に合法的に滞在できるビザの保持者と婚姻関係がある場合に申請可。十分な資金と住まいがあることの証明が必要です。申請者の英語力も問われます。

配偶者ビザの初期有効期間は、英国で申請した場合は30ヵ月、国外で申請した場合は33ヵ月。ビザの延長は最長30ヵ月までです。

永住権

英国永住権(Indefinite Leave to Remain)とは無期限滞在許可を意味します。元々取得しているビザの種類によって、永住権の申請条件が異なります。詳しくはこちらで。

市民権

永住ビザ取得の1年後から市民権を申請することができますが、申請にあたっては、英国在住中の出国日数の規定がある他、英語能力と英国についての知識が問われます。市民権を取得すると、選挙権など英国人と同等の権利を有します。成人の場合は英国に帰化することになり日本国籍は喪失します。

注1: Tier2の中でも、2020年12月1日から一般はSkilled Workerに、2022年4月11日より企業内異動(Intra-Company Transfer)はGlobal Business Mobilityというそれぞれ独立したカテゴリーとなりました。Tier2のカテゴリーは引き続き存続しています。
注2: ポジション、年収、身元引受(スポンサーライセンスを取得している英国企業)の有無、英語力、渡英初期の生活に必要な資金の有無などから算出したポイントの合計が規定数を超えている人だけが申請できます。

注3: 労働法規定の最低勤務時間と収入規定額をしっかりと確認しなければならないなど、規定条件はかなり複雑なため、ビザ申請には専門家に相談するとよいでしょう。
注4: 生活費は、1ヵ月分(ロンドンの場合は£1,483、ロンドン以外は£1,136)を、コース期間(年間休暇期間3ヵ月を除いた9ヵ月分。例えば9ヵ月の場合は9ヵ月、12ヵ月の場合も9ヵ月、6ヵ月の場合は6ヵ月)で掛けて算出します。
※申請者が子どもの場合の生活費は条件などによって異なります。
注5: パートナーにも一定の年収あるいは貯金額があることを証明する必要があります。扶養する子どもがいる場合には、その人数に応じて求められる最低年収額も増加します。

NHS医療費

英国に長期滞在する日本人は、ビザ申請の際にNHS医療費を払わなければなりません。ビザのタイプにより詳細が異なりますので、取得前に確認が必要です。一般的には、一人年間£1,035(学生および18歳未満の場合は£776)※×予定滞在年数を、オンラインで支払います。申請が却下された場合は、支払った全額が返金されます。(※この金額は2024年2月以降の申請に適用される予定)

注意事項

ビザや労働許可書などの取得条件や申請方法は、ホームオフィスのウェブページで確認してください。

上記ビザ情報は2025年1月の情報です。ビザ申請の規定は頻繁に変更されますので、最新情報は専門家にお尋ねください。

(協力:Immigration UK