外出先で

● レストランやパブで、椅子の背にバッグを掛けたり足元に置く行為は大変危険です。また、脱いだ上着のポケットに貴重品を入れたままにしないこと。常に自分の周囲に意識を向け、バッグや携帯電話を放置しないようにしましょう。

● 通りに面したレストランの屋外テーブルでは、鞄は膝の上か、通りを歩く人から手の届かないところに置きましょう。テーブルの上に私物を置くことは避けましょう。

● 路上やレストランでソフトクリームやケチャップなどをわざと人に付けて、それを拭いて注意がそがれている間に財布を抜き取るという事件も報告されています。

● 高額なスマートフォンのひったくりが多発しています。歩きスマホをしていたり、バスを待つ間にバイクや自転車で近づき一瞬の間に取られる被害が後を絶ちません。カフェのテーブルの上で操作するときも怠りなく周囲に注意を払いましょう。

● 道を歩くときは、ひったくり犯を避けるために、荷物を車道側に持たないようにしましょう。バイクや車の運転者や同乗者によるひったくりは、背後から襲ってくる場合が多いので、荷物は体の前方でしっかりと持ってください。多少遠回りになっても、できるだけ人通りのある道を選びましょう。自宅前で自動車を降りたところを襲われるケースもあります。

● 鞄は脇に抱えるなどして持ち物を守りましょう。デイパックを背負うと、背後から開けられる危険性があるので前に持つなどの注意が必要です。

● デパートのエスカレーターやエレベーター、バスの乗降の際に、他人の体が不自然に触れてきたときは、すぐに貴重品を確認してください。

● 列車に乗って出発を待っているときに、ホームにいる人が窓ガラスを叩いてきたのでそちらに注意を向けたそのスキを狙われて、そばに置いていたバッグなどをその仲間に盗られたというケースもあります。

● 公共交通機関のドア付近に立っている人の荷物をドアが閉まる直前にひったくり、そのまま降車して逃げるケースもあるので、乗り物のドア付近に立つのはなるべく避けましょう。混雑時で他にスペースが見つからない場合は、荷物をしっかり持って、スキを見せないようにしてください。

● 公園で女性が深刻な犯罪に巻き込まれる事件も発生しています。特に、早朝や夜の公園を1人で歩くことは避けましょう。

偽警察官

観光客が集まる博物館などで、見知らぬ男が話しかけてきて受け答えしていると、私服の警察官と名乗る男が現れます。偽の警察バッジを見せ「麻薬の取締りをしている」と告げるとその男に職務質問。男が偽警察官に身分証明書(ID)や財布を提示し、カードの暗証番号(PIN number)を教えます。次に、偽警察官は日本人に「お前も身分証明書と財布を見せろ」と言い、カードの暗証番号を聞きます。偽警察官は素早く現金やカードを抜き取ってから財布を返却。捜査終了として立ち去り、その直後に抜かれたカードから多額に不正使用をされてしまいます。

見せられた警察バッジをしっかり確認することはもちろんですが、警察官がカードの暗証番号を聞くことは絶対にないと覚えておきましょう。見知らぬ人に話しかけられたら警戒し、暗証番号は相手が誰であれ絶対に教えないように。警察官に不審な点があれば、「日本大使館に連絡する」などと言って、毅然とした態度で冷静に対処することが大切です。

ATM付近で

路上に面したATMで現金を引き出していると、「5ポンド落としましたよ」と後ろから声をかけられる。地面を見ると本当に5ポンド札が落ちている。それに気を取られているスキに、犯人はATMから出てきたお金とカードを盗って逃げ去る、という手口もあります。

ATMの操作中に後ろから声をかけられても応じないようにしてください。現金を引き出す際は路上ではなく、できるだけ銀行内に備え付けのATMを利用しましょう

住まいの防犯

● 新居に引越しをする際、既存の鍵の複製が既に他人の手に渡っている可能性を考えて、直ちに玄関と裏口の鍵を新しいものに付け替えると安心です。また、玄関近くに家や車の鍵を置いたり、内側からであっても鍵穴に鍵を差し込んだままにすることはやめましょう。

● 住まいは、セキュリティ・システムを設置したり、ロックを二重に付けるなど、できる限りの防犯対策をし、鍵のない窓があれば、家主に取り付けてもらいましょう。

● 外出時には浴室などの小さな窓でも閉め忘れのないように気を付けてください。これを怠ると家財保険などの保険金支払いが困難になることもあります。

● 家の周りにハシゴなどを置き放しにする行為は厳禁です。必ず車庫などに入れること。また、ドリルや工具などの道具類がたくさんある車庫には鍵をかけることもお忘れなく。

● メインエントランスを共有するフラットでは、セキュリティが希薄になりがちです。非常階段などを使って一旦屋根に上がり、ベランダから部屋に入り込まれる可能性もあるため、上層階に住んでいても窓の施錠を忘れないようにしましょう。

● 侵入者は明かりを嫌います。暗くなると自動的に点灯し、朝になると消える外灯や、動きに反応するセンサーライトを外壁に設置するとよいでしょう。

来訪者

予定のない来訪者(電気・ガスのメーターチェックや修理など)のIDは必ず見せてもらいましょう。戸別訪問によるチャリティーの募金集めを装った悪戯や、空き巣の下見をしているケースもあります。

玄関のドアを開ける前には必ずのぞき穴か窓から確認し、安易にチェーンを外
さないこと。また、突然の来訪者は決して家の中に入れてはいけません。

貴重品

警察では、万一の盗難に備えて貴金属品などの製品番号を控え、大きさや特徴がわかるような写真を撮っておくように指導しています。また、所持品リストは、家の中ではなく、貸金庫(safe deposit box)などに保管しましょう。

金庫の利用

まとまった現金や証券は、銀行や民間業者の貸金庫に預けるか、会社などの頑丈な金庫などに保管し、自宅には置かないようにしましょう。

家財保険

家財保険(house contents insurance)は、家財の破損や電気や水道の事故、盗難などがをカバーする保険です。加入しておくと安心です

旅行中の防犯

旅行などで家を空けるときや留守がちな時間などをむやみに口外することは避けましょう。数日以上留守にするときは信頼できる隣人に一言伝え、長期の留守中は知人に様子を見にきてもらうようにしましょう。定時刻に照明やテレビが点くようにタイマーを設置するのも有効です。

滞留した郵便物は、外から見えないように工夫するか、知人に収集してもらうよう頼みましょう。

空港までのタクシーを予約するの際には、家番号を告げず数ブロック先の角などでピックアップしてもらうと安心です。また、旅行バッグに自宅の住所を記したタグを付けるのは危険です。荷物の紛失に備えたい場合は、ホテルや実家など滞在先の住所を記しましょう。

自動車の防犯

自動車には必ずセキュリティ・システムを付け、駐車中の車内には何も残さないように。特に取り外し式のカーナビは、車から持ち出すか、車外から見えないところに隠しましょう。可能であれば、ダッシュボードの中を空にして扉を開けておくなど、車の中には何も取るものがないと見せることで、窓ガラスが破損されるなどの被害が防げます。

車から離れるときは、わずかな時間でもエンジンを切りハンドルロックをかけましょう。窓に隙間が開いていないかの確認も忘れずに。

駐車するときは見通しの悪い路上は避け、人通りが多く、人の目が行き届いた場所を選びます。CCTVが設置された道路で、カメラが向いている方面に停めるのが理想的です。

カード犯罪

万が一財布などを盗まれたときのために、カード番号、カード会社や銀行の電話番号を書いたメモを財布とは別に所持し、可能であればメモのコピーを家族とシェアするようにしましょう。また、カード番号はアラビア数字ではなく、ひらがなで記しておくとより安心です。

ソーシャルエンジニアリング詐欺

ソーシャルエンジニアリング詐欺とは、マルウェアなどを用いずにパスワードやクレジットカード情報、個人情報などを引き出すサイバー犯罪。正規のソフトウェアやアプリケーションからと見せかけたメッセージを送り、ユーザーに機密情報ダウンロードさせたり、偽のウェブサイト上でユーザーにIDやパスワードを入力させ、それをそのまま盗み取るやり方や、コンピュータを使っているときに「ウィルスに感染しています」「システムが破損しています」などの偽りの警告で不安をあおり、ソフトウェアのダウンロードや支払いに誘導したり、仕掛け人が信頼できる人物や権威ある役職になりすまして機密情報を引き出すなど、その手法は多岐にわたります。

クレジットカード会社や銀行を装って、電話やテキスト、メールでカードや銀行口座の番号などを聞き出す詐欺も増えています。クレジットカード会社や銀行は、このような方法で情報を聞くことは絶対にありません。対応に迷ったらいったん断り、直接問い合わせましょう。

個人情報を守る

銀行の口座番号や、カード番号・暗証番号など、重要な個人情報が書かれた書類を破棄する際は、必ずシュレッダーにかけましょう。また、暗証番号は定期的に変更することが奨励されています。